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リフレクティング・プロセスとオープンダイアローグから考える認知行動療法への統合
2026年9月に開催された「日本認知・行動療法学会第52回大会」にてポスター発表をしてきました。学会発表は4年ぶりで、今回はいろんな方とお話する機会がありました。やっぱり発表すると交流する機会が増えますね。発表テーマは家族療法から発展した「リフレクティング・プロセス(Reflecting Process/Processes:RP)」という技法です。
発表後に「オープンダイアローグ(Open Dialogue:OD)とRPの関連性」について質問を受けました。発表時は受けなかった質問でしたが、これについては私なりに考えていることがあります。せっかくなので、今回の記事ではこの質問にお答えする形で、RPについてまとめたいと思います。
10月2日
教育現場で活かすメンタルヘルス・リテラシー
いつも提出していた課題が出なくなった。授業中、集中しづらそうにしている。
学校で子どもたちと関わる中で「いつもと違う」と感じることがあります。そんなとき、心の健康についての知識があると関わり方を考える手がかりになります。
和-conneでは「教育現場のためのメンタルヘルス実践研修」として、学校での支援に関する6つの研修を開催しました(アーカイブ配信中)。ひとつ目の研修が以下のものです。
「メンタルヘルス・リテラシー こころの健康の基礎教養」
国際医療福祉大学の小川光江先生をお迎えし、思春期にみられる精神疾患や、普段との違いに気づくことの大切さをお話しいただきました。今回は、そのお話を入口に、メンタルヘルス・リテラシーを学校での日々の関わりにどう活かせるか、考えてみたいと思います。
9月19日
自分にも他人にも厳しくなってしまうときに
― 完璧主義をゆるめる「2つのコンパッション」 ―
「もっと頑張らなければ」「失敗してはいけない」「こんなこともできない」。
こうした言葉を、「自分」に向けてしまうことはないでしょうか。ときには、その厳しさが、「身近な人」や「子ども」に向くこともあります。より良くなってほしいという期待が、いつの間にか、自分や相手を追い詰める言葉に変わってしまうのです。
前回の「若者の完璧主義は、なぜ増えているのか」では、高い目標を持つことと、失敗を過度に恐れることの違いを考えました。そして、AI時代の教育では、「不完全なまま学び続ける力」が大切になるのではないかと、お伝えしました。
では、うまくいかないときに、自分や他者を責めず、次の一歩を選ぶにはどうすればよいのでしょうか。今回は、SNSにおける他者との比較に触れながら、自分と他者に向ける「コンパッション」について考えたいと思います。
9月12日
若者の完璧主義は、なぜ増えているのか
若者の完璧主義は、なぜ増えているのか ― AI時代に育てたい「不完全なまま学び続ける力」― 「もっと頑張らなければ」「失敗してはいけない」「まだ十分ではない」。一見すると、こうした思いは向上心の表れにも見えます。しかし、ときにはその思いが、自分自身を追い詰めることがあります。 大学生を対象とした研究では、若い世代における完璧主義が、長期的に高まっていることが報告されています。2026年に公表された研究でも、米国・カナダ・英国の大学生82,939人のデータから、自分自身に高い要求を課す傾向や、失敗への強い懸念、行動への迷いなどが、時代とともに高まっていることが示されました。 もちろん、これらの研究は主に欧米の大学生を対象としたものであり、その結果を日本のすべての若者にそのまま当てはめることはできません。それでも、高校生を対象に心理教育を行っていると、周囲からのプレッシャーや期待、他者との比較に悩む声に触れることは、日本でも決して少なくないように感じます。それでは、目標を高く持つことそのものが問題なのでしょうか…? この記事では、完璧主義と向
9月1日
強迫症のCBTにおける「適切なギャップ」をどう考えるか
最近、強迫症のCBTについて考える機会があったので、せっかくなので記事にしてみました。専門的な内容かつ長いですが、興味のある方はどうぞ。 強迫症のCBTにおける「適切なギャップ」をどう考えるか ~期待違反の操作から反応・主体性・生活目標を支える実践へ~ 強迫症に対するエクスポージャーと反応妨害(ERP)では、予期していた結果と実際の結果との不一致、すなわち「期待違反(Expectancy Violations)」が新しい学習を促すと考えられています。私はこの考え方そのものを否定しているわけではありません。ただ、「期待違反を治療機序として重視すること」と、「臨床家がギャップの大きさを直接・精密に操作しようとすること」は、分けて考える必要があると思っています。 私自身、以前はSUDsを用いて症状を階層化し、その順番に沿ってエクスポージャーを組み立てる方法を中心に実践していました。しかし現在は、そのやり方をかなり変えています。今回は、なぜ私の実践が変化したのか、そして今は何を手がかりに課題を作っているのかを、期待違反の理論と照らし合わせながら整理し
8月16日
「無理させない」と言われたら:子どもの精神疾患と学校対応
医療機関から「学校では無理をさせないように」と伝えられたとき、学校はどのように対応すればよいのでしょうか。体育は休ませた方がよいのか。行事には参加してよいのか。体調が悪そうなときは、本人に声をかけるべきか、それとも静かに見守るべきか。「無理をさせない」という言葉だけでは、具体的な対応を決めることはできません。 医療機関は診断や治療に関する情報をもっていますが、学校が必要としているのは、「どの場面で困りやすいのか」「どのようなサインが見られるのか」「学校では何をすればよいのか」という、日々の学校生活に結びつく情報です。 身体疾患の場合は具体的な指示がもらえる場合がありますが、精神疾患の場合はどうでしょうか。この記事では、医療情報を学校で実践できる支援へとつなげるために、家庭・学校・医療機関の間で、何を整理すればよいのかを考えたいと思います。 子どもの心の不調は、学校でどう現れるのか 子どもでも、うつ病や不安症、摂食障害などの精神疾患にかかることがあります。また、発達特性や学校生活上の困難を背景として、不安や抑うつなどの症状が現れることもあります。.
6月29日
MTSS(多層型支援システム)についての理解を深めよう
MTSSの基本概念:
MTSS(多層型支援システム;Multi-Tiered System of Support)は、上図のように、支援の段階を3層構造で捉えるところが特徴的です。
それぞれの支援についての考え方自体は、真新しいわけではありませんが、包括的な視点をもたらしてくれるのが、MTSSの良いところです。段階に応じて、支援を柔軟に変えていくという発想が、MTSSの本質的な部分です。
5月21日
学校で問題が起こったときのフローについて
学校で不登校やいじめ、精神的不調などの問題が発生したときに、 どういったフローが望ましいのか、フローを進めるうえでは何が必要なのか、 考えてみたいと思います。 * 学校での問題発生時のフローについて * さっそくですが、上図は、私が想定している学校における問題発生時の基本的な対応フローです。まずは、この流れを簡潔に整理しつつ、各段階のポイントを押さえていきます! 1.問題発生 「問題」と一口に言っても、周囲から見て明らかなものもあれば、気づかれにくいものもあります。とくに、本人の自覚が乏しく、周囲も困り感を抱いていない場合には、表面化しないまま問題が進行していることも少なくありません。 2.発見 こうした潜在的な問題に対応するうえで鍵となるのが「発見」です。発見は、当事者の訴えによる場合と、周囲の観察による場合の双方があり得ますが、いずれにしても「いかに早期に気づけるか」が重要です。 早期発見で大事なのは、当事者が安心して相談できる大人(保護者・教員・専門職など)の存在です。相談先が身近にない場合、発見は遅れがちになります。そのため、日常的に「相
3月20日
学校の多職種連携の課題と展望!
概念定義が曖昧な「学校における多職種連携」:本論の書き出しは、ここから始まっています。まずは曖昧な定義からスタートして、運用していく中で整備していく流れは、良いか悪いかは別として、日本の文化的な特徴だと感じます。台湾のSCシステムとの国際比較でも、役割の明文化に大きな違いがあることが分かりました。
以前の記事で多職種連携についてふれましたが、多職種連携の効果として、子どもの支援だけでなく、教員の業務負担軽減や、医療×教育の橋渡しなど、様々な効果が期待されています。あるいはそれゆえに、定義しにくいのかもしれません。
何というか、連携すればすべての問題は解決すると思っているとしたら、それはだいぶ違う気がします。
2025年11月14日
日本と台湾の国際比較!スクールカウンセラーの支援システムについて
今回は日本と台湾のスクールカウンセラー制度の国際比較研究をもとに、 あれこれ考えてみたいと思います。 紹介する論文 邱冠寧ほか(2023).スクールカウンセラーの多職種連携及び協働における課題と展望-日本と台湾の支援システムの比較を通して.東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要,46,p.113-120. * 台湾について * はじめに台湾について概観してみたいと思います。面積は約3万6千km²で、日本の10分の1ほど、九州と同じくらいです。2023年の名目GDPは7560億米ドルで、世界22位とのこと。日本の約5分の1の経済規模です。ちなみに日本のGDPは2024年時点で4兆26億ドル。1人当たりのGDPでは、日本や韓国と同じ水準とのことで、非常に高い水準にあるようです。もう1人当たりのGDPは、日本は普通に追い抜かれていますね…。 台湾 $33,000〜34,000前後 日本 $32,000〜33,000前後 韓国 $34,000台後半 保健制度としては、「全民健康保険」という国民皆保険制度が1995年から実施されているようです。20
2025年10月12日
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