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学校の多職種連携の課題と展望!
今回も文献紹介で、学校における多職種連携の課題と展望について、 あれこれ考えてみたいと思います。 紹介する論文 小田郁予(2022).学校における多職種連携研究の課題と展望―連携概念の定義と連携研究を捉える視点.東京大学大学院教育学研究科紀要,61, pp . 353-364. * 概念定義が曖昧な「学校における多職種連携」 * 本論の書き出しは、ここから始まっています。まずは曖昧な定義からスタートして、運用していく中で整備していく流れは、良いか悪いかは別として、日本の文化的な特徴だと感じます。 台湾のSCシステムとの国際比較 でも、役割の明文化に大きな違いがあることが分かりました。 以前の記事 で多職種連携についてふれましたが、多職種連携の効果として、子どもの支援だけでなく、教員の業務負担軽減や、医療×教育の橋渡しなど、様々な効果が期待されています。あるいはそれゆえに、定義しにくいのかもしれません。 何というか、 連携すればすべての問題は解決する と思っているとしたら、それはだいぶ違う気がします。 * 一見複雑に見えるけど、やっぱり複雑な学校現
11月14日


日本と台湾の国際比較!スクールカウンセラーの支援システムについて
今回は日本と台湾のスクールカウンセラー制度の国際比較研究をもとに、 あれこれ考えてみたいと思います。 紹介する論文 邱冠寧ほか(2023).スクールカウンセラーの多職種連携及び協働における課題と展望-日本と台湾の支援システムの比較を通して.東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要,46,p.113-120. * 台湾について * はじめに台湾について概観してみたいと思います。面積は 約3万6千km² で、日本の10分の1ほど、九州と同じくらいです。2023年の名目GDPは 7560億米ドル で、世界22位とのこと。日本の約5分の1の経済規模です。ちなみに日本のGDPは2024年時点で4兆26億ドル。 1人当たりのGDPでは、日本や韓国と同じ水準 とのことで、非常に高い水準にあるようです。もう1人当たりのGDPは、日本は普通に追い抜かれていますね…。 台湾 $33,000〜34,000前後 日本 $32,000〜33,000前後 韓国 $34,000台後半 保健制度としては、「 全民健康保険 」という国民皆保険制度が1995年から実施されてい
10月12日


養護教諭のメンタルヘルスリテラシー
今回は文献紹介を通して、養護教諭の先生方のメンタルヘルスリテラシーについて あれこれ語っていきたいと思います。 紹介する論文 小川光江ほか(2025)養護教諭のメンタルヘルス・リテラシーの実態と関連要因.日本精神保健看護学会誌,34(1),p.21-29. * そもそも養護教諭の先生ってどれぐらいいるの? * Gemini先生に聞いたところ、約4万人とのことでした。教育分野で働いている心理師が約2万人ということで、倍ぐらいの人数。しかも心理師と違って常勤職であり、学校内でのお役割はかなり大きいと感じます。優秀な養護教諭の先生がいれば、SCの仕事の半分は無くなりそうです。 * メンタルヘルス・リテラシーって何? * この論文でのテーマになっているのが、養護教諭の先生方のメンタルヘルス・リテラシー(Mental Health Literacy; MHL)ということことですが、本論ではMHLを以下のように定義しています。 MHLは「精神疾患に関する認識や管理、予防、援助についての知識や考え」であり(Jorm, 2012)、自殺予防に関する知識は「自殺に
10月10日


米国における子どもたちのうつ病治療の変化について
今回は米国での研究成果について文献紹介をしながら、 日本での遠隔医療の可能性について考えてみたいと思います。 下記は紹介する論文 J.R. Cummings, X. Hu, I. Graetz, J. Marchak, C. Ramos, X. Ji, "Health...
10月4日


学校における多職種連携について
今回は文献紹介です。学校における多職種連携についてのお話。 文献の主張や言及を踏まえつつ、私見を語っています。 紹介する論文 入江優子(2022).学校における多職種連携の意義―校内の組織開発に着目して, 日本養護教諭教育学会誌, 26(1), 5-10. * 学校で活動する職種について * 学校には、実に様々な職種の人がいます。 学校医、学校歯科医、学校薬剤師、教諭、養護教諭、栄養教諭、事務職員、SC、SSW、部活動指導員、医療的ケア看護職員、特別支援教育支援員、情報通信技術支援員、教員業務支援員など。 この中でも、学校医などの校長の監督から独立した専門職もいますが、SCやSSWは校長監督下で職務遂行を行っています。実臨床上でも、例えばSCとして紹介状を書いたときには、必ず送付前に管理職の確認をとる必要があります。 論文の中では、 SCやSSWは専門性発揮の観点から、教育委員会配置であったり、SV体制が組まれるなど、一定の外部性が保たれている と概説されています。 論文では、お互いの専門性を尊重した連携の在り方について、重要なところを以下の点に
9月20日

