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教育現場における予防を重視した多層型支援システム(MTSS)について

  • 14 時間前
  • 読了時間: 4分

今回は多層型支援システム(MTSS)について、簡単に紹介したいと思います。教育現場におけるMTSSは、一言でいうと事後対応よりも予防を重視した支援の枠組みのことです。



* 支援の段階を多層的に考える

MTSS(多層型支援システム;Multi-Tiered System of Support)は、上図のように、支援の段階を3層構造で捉えるところが特徴的です。


ざっとそれぞれの層の役割を説明すると……

第1層では、学校の児童生徒全員を対象とした支援を行います。
第2層では、第1層だけで解決しない問題について、小集団や個別に支援します。
第3層では、さらに密度の高い個別のアセスメントおよび介入を行っていきます。

それぞれの支援についての考え方自体は、真新しいわけではありませんが、包括的な視点をもたらしてくれるのが、MTSSの良いところです。段階に応じて、支援を柔軟に変えていくという発想が、MTSSの本質的な部分です。



* MTSSの成り立ちは? *

MTSSは、「ある年に突然できた制度」というよりは、従来から取り組まれてきた学習支援、行動支援、メンタルヘルス支援、インクルーシブ教育などが、統合された枠組みとして、アメリカで立ち上がってきたものです。MTSSという名称は使っていなくとも、似たような予防重視の支援の枠組みが、海外では運用されています。


MTSSの導入によって、実際に「問題行動の減少」「学力の向上」「いじめの予防・減少」といった効果も報告されているようです。今回は割愛しますが、このあたりは別でご紹介するかもしれません。


MTSSの特徴をまとめると、以下の4つにまとめられます。


1.全児童生徒への予防的支援を重視
2.データに基づく支援の強化
3.早期発見・早期介入に繋げる
4.必要に応じた段階的介入


* 第1層支援をもう少し詳しく

第1層では「全員を対象にした予防支援」を行うわけですが、大きく分けて3つの側面があります。それが「学習面」「心理社会面」「行動面」です(下図)。



個別の内容について紹介しきれないのですが、それぞれ全体に働きかける重要なアクションと言えます。スクールカウンセラーが行っている心理授業は、この第1層支援に該当します。MTSSでは、第1層支援の充実化が、もっとも重要とされています。


現状、日本の学校メンタルヘルス支援においては、この第1層のような全体的な働きがけについて、課題があると言えます。ただし、近年ようやく、政府・自治体が力を入れてきています。


・2026年度、兵庫県の全小中学校にて自殺予防授業を実施


・1人1台ICT端末を活用した心の健康観察による早期発見


いろいろなことが、まだスタートしたばかりです。心の健康観察を十分に知らない方もいらっしゃるでしょうし、SCの中にも、心理授業をしたことがない方もいます。


まだ各々の取り組みが始まった段階ですが、いずれはMTSSのような包括的な枠組みによって、それぞれの支援を紐づけて運用していくことが、必要になるのではないかと思います。



* 第2層支援について

第2層では、第1層支援で解決しなかった方に対して、小集団または個別にて、支援を行っていきます。学習面では補習授業などが入ったり、心理社会面では短期カウンセリングが該当します。自閉情緒学級におけるSSTなどは、行動面の支援に該当するかと思います。このあたりの支援も、地域または学校によって、大きく差があるかもしれません。




* 第3層支援について *

第3層では、より密度の高い支援を個別に提供していきます。第1層の充実化は重要ですが、問題が複雑化・長期化・重症化してくると、第3層支援のような対応が、どうしても必要になってきます。



じつは第1層・第2層の支援が事前にあると、第3層支援は円滑に進みます。

例えば、セルフモニタリングをどこかで学んできた方というのは、感情を言葉にすることになれているため、面談後すぐに、問題に関連する感情や考えをキャッチしやすい。

裏を返せば、まったくメンタルヘルス教育が入っていなかったり、自分の感情を振り返る体験がない場合、「感情の役割とは…」から説明すると、ほかに必要な時間が足りなくなります。とくにSCは時間的制約が厳しいため、時間の損失がそのまま支援の質低下に繋がります。




* MTSSから学べること

MTSSから学べることについて、大きく4つにわけて、あらためてまとめてみました。



MTSSは、こうした考え方の枠組みをしっかり整えるうえで、役立つと感じました。ただの3層構造の支援モデルというわけではなく、予防に対する理念や心構えが、本質的に価値があるのかもしれません。



* まとめ *

最近は、学びの多様化学校や居場所支援、メタバースなど、支援として環境整備という側面が大きく動いています。それぐらい、従来の学校というものを変化させるのは難しい、ということなのかもしれません。


教育として、何を身につけていくべきなのか。子どもたちに、もっと自分の心と体に関心がもてるように、支援していきたいなと思っています。


今回は以上となります。読んでいただきありがとうございます。



* 引用・参考文献 *

齊藤由美子(2019).多層的な教育ニーズに対応できる学校づくりに関する研究.,独立行政法人国立特別支援教育総合研究所

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